Essay(エッセイ)– category –
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読むことの“先”にある理解の旅
読書が「知識を得る行為」だとすれば、本の執筆は「知識を自分のものにする行為」だと、私は思う。 一冊の本を読むだけでも、私たちは多くの情報や異なる視点に触れることができる。しかし、読んで「わかったつもり」になっていることは多い。たとえば、自... -
無為自然
忙しさに追われる日々のなかで、ふと立ち止まって思う。「自分は何をそんなに焦っているのだろう」と。 「無為自然(むいしぜん)」という言葉がある。何もしない、という意味ではない。余計なことはしないという生き方。無理に為さず、自然の流れに従って... -
静かなる熱狂 ― 世界が恋する“日本”という感性
かつては「極東の島国」と呼ばれた日本が、いまや世界のカルチャーの発信地として注目を集めている。アニメやマンガ、寿司やラーメンといった食文化、禅や侘び寂びに代表される哲学的美意識――日本が持つ独特の文化的遺産と現代性の融合が、今、世界を魅了... -
自由と個性と風の時代
時代の空気が変わる――そんな実感があったのは、いつの頃だったろうか。 「風の時代」が来たと聞いたのは、2020年の年末だったような気がする。占星術の世界では、木星と土星のグレート・コンジャンクションが「水瓶座」で起こり、これから200年は「風」の... -
エッセイ ジャズのある喫茶店
その店は、駅から少し離れた裏通りにひっそりとあった。曇りガラスの引き戸を開けると、かすかに埃と珈琲の香りが混じった空気が鼻をくすぐり、どこか懐かしい気持ちに包まれる。店内に流れるのは、Bill Evansの「Waltz for Debby」。音量は控えめなのに、... -
エッセイ 日本の米
スーパーの棚にずらりと並ぶコメの袋。魚沼産コシヒカリ、秋田こまち、ななつぼし――日々の食卓を彩るその白い粒は、単なる主食ではなく、日本人の心そのものと言っていい。 私たちにとって米とは何か。飢えをしのぐための糧であり、祝祭に供える神聖なもの... -
エッセイ 風のように読む、村上春樹
「そういう時は、村上春樹を読めばいいんだよ」と言われたのは、社会人になりたての頃だった。何かに疲れたような顔をしていたのかもしれない。あの頃の私は、何かしらにずっと疲れていた気がする。 図書館で『ノルウェイの森』を借りて、帰りの電車の中で...
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