Samba With Some Barbecue

ポール・デスモンド(Paul Desmond)の「Samba with some Barbecue」は、彼のキャリア後期の作品群の中でも、ボサノヴァ・ブームに乗ったエキゾチックなサウンドと、デスモンド特有の優雅でクールなサックスが融合した、非常に洒落た楽曲です。

この曲は、単なるボサノヴァの曲ではなく、元々は異なるジャンルの楽曲をボサノヴァ風にアレンジしたカバー曲である点に特徴があります。この楽曲の原曲は、ジャズの巨人ルイ・アームストロングの妻であったリル・ハーディン・アームストロングが作曲した、賑やかで豪快なニューオーリンズ・スタイルのトラディショナル・ジャズ「Struttin’ With Some Barbecue」です。

デスモンドと編曲家のドン・セベスキーは、この陽気でスウィング感あふれる原曲を、クールで抑制の効いたボサノヴァのリズムに乗せて、完全に新しい楽曲に生まれ変わらせています。この大胆なジャンルの変換こそが、この曲の最大の魅力です。「Samba with some Barbecue」は、賑やかな原曲を、デスモンドのどこか洒落た皮肉やウィットを感じさせるクールなボサノヴァに昇華させた、デスモンド・サウンドのエッセンスが詰まった名演と言えます。

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