映画『ティファニーで朝食を』(Breakfast at Tiffany’s)は、アメリカ映画史に残る名作で、オードリー・ヘプバーンを象徴する代表作の一つでもあります。
公開年:1961年
監督:ブレイク・エドワーズ
原作:トルーマン・カポーティの同名小説(1958年)
主演:オードリー・ヘプバーン(ホリー・ゴライトリー役)、ジョージ・ペパード(ポール役)
音楽:ヘンリー・マンシーニ(主題歌「ムーン・リバー」は特に有名)
ニューヨークに住む自由奔放な女性、ホリー・ゴライトリーは、社交界を渡り歩きながら玉の輿を狙って生きている。彼女の隣に越してきた作家志望の男性ポールは、彼女に惹かれながらも、彼女の過去や心の壁に触れていく。表向きは都会的なロマンスに見えながら、実は「孤独」「自立」「愛への恐れ」など、複雑なテーマが織り込まれています。ホリーは自由奔放でミステリアスですが、その内面には「本当の愛から逃げている」弱さが描かれています。
ムーン・リバー(Moon River)作曲:ヘンリー・マンシーニ/作詞:ジョニー・マーサー オードリー自身が劇中でギターを弾きながら歌うシーンは、映画史に残る名場面とされています。哀愁と希望を含んだメロディと歌詞が、ホリーの孤独な心情を象徴しています。
トルーマン・カポーティ(Truman Capote)は、アメリカ文学を代表する作家であり、鋭い観察力とスタイリッシュな文体で知られています。フィクションとノンフィクションの境界を曖昧にするような作品を残し、20世紀文学に強い影響を与えました。
主な作品は:『ティファニーで朝食を』(Breakfast at Tiffany’s, 1958)、『冷血』(In Cold Blood, 1966)、『遠い声、遠い部屋』(Other Voices, Other Rooms, 1948)etc.
トルーマン・カポーティは、「文学を読む喜び」と「人間の深層を覗く怖さ」を同時に味あわせてくれる作家です。特に『冷血』は、単なる事件記録にとどまらず、現代ノンフィクションのスタイルを決定づけるエポックメイキングな作品として今も評価されています。
映画の見どころ
オードリー・ヘプバーンのファッション(特に冒頭の「黒のジバンシィのドレス」は伝説的)
マンハッタンの風景と洗練された映像美
コメディとメランコリックなドラマのバランス
原作との違い
原作はもっとシニカルで、ホリーも映画より破天荒な存在。
結末が異なる:原作ではホリーは行方不明になるが、映画ではよりロマンチックに描かれている。
カポーティはヘプバーンの起用に不満だった(もっとセクシーな女優を望んでいた)という逸話もあります。
『ティファニーで朝食を』は、ただのロマンス映画ではありません。
都市に生きる人の「自由」と「孤独」、「憧れ」と「現実」を繊細に描いた作品です。オードリー・ヘプバーンの輝きとともに、今も多くの人の心に残っています。
