マルチアンプシステムについて

マルチアンプシステム(Multi-Amplifier System)は、複数のアンプを使用してスピーカーの各ユニット(低音・中音・高音)を独立して駆動するオーディオシステムのことです。通常のシングルアンプシステムとは異なり、帯域ごとに適したアンプを使うことで、より高音質な音の再生が可能になります。

マルチアンプシステムの構成

音源(プレーヤー):CDプレーヤー、レコードプレーヤー、ストリーミング機器など、音楽を再生する機器。

プリアンプ(必要に応じて):音量調整や音質調整を行う。マルチアンプの場合、プリアンプから分岐して各帯域用のアンプに送ることがある。

チャンネルデバイダー(クロスオーバー):マルチアンプシステムの要となる機器。オーディオ信号を特定の周波数帯域に分割し、それぞれのアンプに送る。

パワーアンプ:チャンネルデバイダーで分割された信号を、それぞれの帯域に適したアンプで増幅する。低音用アンプ(ウーファー向け)、中音用アンプ(ミッドレンジスピーカー向け)、高音用アンプ(ツイーター向け)

スピーカー:各周波数帯域ごとに専用のスピーカーユニットを使用。

マルチアンプのメリット

音質の向上:それぞれの帯域に最適なアンプを使用できるため、歪みが少なくクリアな音になる。クロスオーバー回路による影響(位相ズレや干渉)を最小限に抑えられる。

アンプの負担軽減:各アンプが特定の帯域のみを担当するため、出力の余裕ができる。スピーカーの駆動が安定する。

調整の自由度が高い:各帯域ごとに音量バランスを調整できる。音の特性に合わせて、異なるアンプやスピーカーを組み合わせることが可能。

マルチアンプのデメリット

コストが高い:アンプを複数用意する必要があるため、コストがかかる。高性能なチャンネルデバイダー(クロスオーバー)が必要。

設置と調整が難しい:各スピーカーの位相やレベル調整が必要。適切なクロスオーバー周波数の設定が求められる。

配線が複雑:アンプやチャンネルデバイダーを経由するため、配線が増える。

マルチアンプシステムは、音質を向上させるために有効な方式ですが、導入にはコストや調整の手間がかかります。本格的なオーディオシステムを構築したい場合や、ジャズ喫茶・リスニングルームの音響改善を考えているなら、マルチアンプの導入を検討する価値はあります。

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