「Someday My Prince Will Come」 は、アメリカのジャズトランペッター、マイルス・デイヴィスが1961年に発表したアルバムです。この作品は、ディズニー映画『白雪姫』のテーマ曲「Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)」をタイトルに冠しており、同曲のジャズアレンジが収録されています。このアルバムはマイルスの抒情性とミュージシャンたちのインタープレイが際立つ名盤として高く評価されています。
このアルバムは、前年の「Kind of Blue」に見られるモーダルジャズのアプローチから一歩離れ、スタンダード曲の抒情性を活かした美しいアレンジが特徴です。タイトル曲「Someday My Prince Will Come」をはじめとして、ロマンティックで柔らかい響きがアルバム全体に漂っています。アルバムには、ジョン・コルトレーンとハンク・モブレーの2人のテナーサックス奏者が参加しています。特にコルトレーンは、タイトル曲で繊細でメランコリックなソロを披露し、モブレーとは異なる独自の表現力を示しています。この2人の異なるテナーサックスのスタイルが、アルバムに独特の深みを加えています。ベーシストのポール・チェンバースは、本作でもリズムセクションとして絶妙な支えを提供し、抑制された演奏でアルバムのムードを引き立てています。彼の演奏はデイヴィスのトランペットの抒情性を際立たせる役割を果たしています。
「Someday My Prince Will Come」は、マイルスのディスコグラフィの中で抒情性が際立つアルバムの一つとして、多くのジャズファンや批評家から高く評価されています。この作品は、ハードバップからモード・ジャズへの移行期の作品でもあり、デイヴィスがジャズの形式を柔軟に取り入れながら、自身の感情表現を豊かに広げていったことを示しています。ジョン・コルトレーンのソロも注目され、彼のサックスプレイはこのアルバムに深みを加え、アルバム全体に余韻を残す演奏として評価されています。
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