ボサノヴァとジャズの融合—Antonio Carlos Jobimの魅力

🎶 ボサノヴァとジャズの関係とはボサノヴァ(Bossa Nova)は、1950年代後半にブラジルで誕生した音楽スタイルで、サンバのリズムを基調にしながら、ジャズの和声や即興性を取り入れたジャンルです。その中心人物がアントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)であり、彼の音楽はボサノヴァとジャズを融合させ、世界的なムーブメントを生み出しました。

🎼 Antonio Carlos Jobimとは?

Antonio Carlos Jobim(1927-1994)は、ブラジルの作曲家、ピアニスト、ギタリスト、編曲家であり、ボサノヴァを世界的に広めた第一人者です。
彼の音楽は、ブラジルのサンバのリズムに
ジャズのハーモニー、クラシック音楽の影響、洗練されたコード進行
を取り入れ、ボサノヴァという新しいスタイルを確立しました。

🎵 代表曲

「The Girl from Ipanema(イパネマの娘)」
→ 世界的に最も有名なボサノヴァ曲で、ジャズとボサノヴァの融合を象徴する楽曲。

「Corcovado(Quiet Nights of Quiet Stars)」
→ ジャズの洗練されたコード進行を取り入れた、ボサノヴァの名曲。

「Desafinado」
→ ジャズの影響を受けた不協和なメロディーが特徴的。

「Wave」
→ ジャズミュージシャンによって多くカバーされた美しいインストゥルメンタル曲。

🎷 ジャズとボサノヴァの融合のポイント

① 和声(コード進行)の洗練

ジョビンの音楽は、従来のサンバよりもジャズの影響を強く受けたコード進行を多用しています。
たとえば、「The Girl from Ipanema」のコード進行には、II-V-I進行やテンションコード(9th, 11th, 13th)が頻繁に使われており、ジャズの響きを持っています。

② リズムの柔軟性

ジャズがスウィング(跳ねるリズム)を特徴とするのに対し、ボサノヴァはスウィングせず、滑らかで流れるようなリズムが特徴的。ドラムの代わりに、ギターのパーカッシブなボサノヴァ・コンピング(裏拍を意識したストローク)が使われます。

③ インタープレイ(即興演奏)の導入

ジャズと融合することで、ボサノヴァにもアドリブ・ソロが取り入れられるようになりました。スタン・ゲッツ(Stan Getz)やエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)などのジャズミュージシャンは、ジョビンの曲を即興演奏を交えて演奏することで、ボサノヴァにジャズ的なスリルを加えました。

🎤 ボサノヴァ×ジャズの名盤

『Getz/Gilberto』(1964)

📌 スタン・ゲッツ(Sax) & ジョアン・ジルベルト(Vo, Gt) & ジョビン(Pf)

「The Girl from Ipanema」が収録され、世界的にボサノヴァを広めた名盤。ジャズ・サックスの巨匠スタン・ゲッツが、ジョビンの洗練されたハーモニーと絡むことで、新しい音楽の可能性を生みました。

『Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim』(1967)

📌 フランク・シナトラ(Vo) & アントニオ・カルロス・ジョビン(Gt, Pf)

ジャズ・ヴォーカルのレジェンド、フランク・シナトラがジョビンと共演した歴史的アルバム。「Quiet Nights of Quiet Stars」や「Dindi」など、ロマンチックなボサノヴァの魅力が詰まっています。

『Wave』(1967)

📌 Antonio Carlos Jobim(Pf, Gt)

ボサノヴァとジャズの要素をさらに発展させた、ジョビンのインストゥルメンタル作品。「Wave」「Triste」など、美しいコード進行とジャズの洗練されたアレンジが魅力。

ボサノヴァは、ジャズの影響を受けることで、より洗練されたハーモニーと即興性を手に入れ、国際的な音楽へと進化しました。その中心にいたのがアントニオ・カルロス・ジョビンであり、彼の音楽は今なお多くのジャズ・ミュージシャンによって演奏されています。

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