かっこいいジャズ・コード進行5選

ジャズの魅力のひとつは、その洗練されたコード進行にあります。ジャズのコード進行は、クラシックやポップスとは異なり、複雑な和声や予想外の転調が特徴的です。今回は、ジャズらしさを感じる「かっこいいコード進行」を5つ紹介します。

① II-V-I（ツー・ファイブ・ワン）進行

定番度：★★★★★

例：Dm7 → G7 → Cmaj7

ジャズの基本中の基本であり、ほぼすべてのジャズ曲に登場する進行です。
「トニック（I）に向かう強い引力」が特徴で、これを変化させるだけで無限のフレーズが生まれます。

かっこよくするポイント

テンション・コードを使う（例：G7をG7(♯9♯5)にする）、リハーモナイズする（例：G7 → D♭7（裏コード））

使用曲

「Autumn Leaves（枯葉）」、「Blue Bossa」、「All The Things You Are」

② I-VI-II-V（ワン・シックス・ツー・ファイブ）進行

定番度：★★★★☆

例：Cmaj7 → A7 → Dm7 → G7

ジャズのバラードやスタンダード曲でよく登場する進行で、エレガントな流れが特徴的です。
特にサビへの導入や、終わる前の「まとめ」の部分で使われることが多いです。

かっこよくするポイント

A7（VIm7）の代わりにA7♭9を使う→ A7♭9はよりジャズらしい渋いサウンドに！、テンション・コードを追加する（G7 → G13, A7 → A7♭9）

使用曲

「I’ve Got Rhythm（リズム・チェンジ）」、「There Will Never Be Another You」、「The Girl From Ipanema」

③ ♭IImaj7 – Imaj7（トライトーン・サブスティテューション）

定番度：★★★☆☆

例：D♭maj7 → Cmaj7

通常、ジャズではドミナントコードの代理（サブスティテューション）としてトライトーン（3全音）上のコードを使うことがあります。
この進行は、通常の「V7 → I」ではなく、♭IImaj7 → Imaj7という、ドミナントを省いた進行です。

かっこよくするポイント

スムーズなボイシングを意識する、ベースを半音で動かすことで流れるような響きにする

使用曲

「Dolphin Dance（Herbie Hancock）」、「Giant Steps（John Coltrane）」、「Naima（John Coltrane）」

④ IIm7♭5 – V7♯9 – Imaj7（マイナー II-V-I）

定番度：★★★★☆

例：Dm7♭5 → G7♯9 → Cmaj7

通常のII-V-Iとは違い、「暗くて渋いサウンド」が特徴の進行。
マイナーキーの楽曲では、V7を♯9（または♭9）にすることで、さらに緊張感のある響きが作れます。

かっこよくするポイント

G7♯9 を G7alt にする（G7(♯9,♭13)など）、Dm7♭5 を Bm7♭5 にして代理コードとして使う

使用曲

「Blue In Green（Miles Davis）」、「’Round Midnight（Thelonious Monk）」、「Misty（Erroll Garner）」

⑤ Coltrane Changes（コルトレーン・チェンジ）

定番度：★★★★★

例：Cmaj7 → Emaj7 → A♭maj7 → Cmaj7

ジャズのモダン化に大きく貢献したジョン・コルトレーンが考案したコード進行。
通常のII-V-Iの枠を超えて、3つのメジャー・コードを対等に扱う斬新な響きを持つのが特徴。

かっこよくするポイント

スケール感を意識する（アウトするフレーズが映える）、アルペジオやスライドを使ったソロを試す

使用曲

「Giant Steps（John Coltrane）」、「Countdown（John Coltrane）」

ジャズは「コード進行のバリエーション」が多く、これらの進行を応用するだけで、オリジナリティあふれる演奏が可能になります。
特にジャズ・ピアノやギターをやっている人なら、この5つの進行をマスターすると、一気にジャズらしい演奏ができるようになります！