マルコス・ヴァーリ(Marcos Valle)について

マルコス・ヴァーリは、ブラジル音楽界の「カメレオン」と呼ばれます。その理由は、時代の音を敏感に察知し、ボサノヴァ、サイケデリック、ファンク、AOR、クラブミュージックと、常に自分をアップデートし続けてきたからです。

彼の華麗なるキャリアを、代表曲とともに年代順に振り返ってみましょう。

1.1960年代

デビュー当時は、アントニオ・カルロス・ジョビンに続く「ボサノヴァ第2世代」の旗手として登場しました。

代表曲:「Samba de Verão(サマー・サンバ)」(1964年)

世界で2番目に多くカバーされたボサノヴァと言われる金字塔。リオの青い海と空をそのまま音にしたような、軽やかで瑞々しいメロディです。

代表曲:「Os Grilos(クリケッツ)」(1968年)

アメリカ滞在を経て、少しポップでサイケデリックな要素が加わり始めた時期。軽快なスキャットとラウンジ風のアレンジが、後の「渋谷系」で熱狂的に愛されました。

2.1970年代

この時期のマルコスは、ジャズ・フュージョン・バンド「アジムス」をバックに従え、より深みのあるメロウなサウンドへと進化します。

代表曲:「Mentira(メンチーラ)」(1973年)

名盤『Previsão do Tempo』収録。フェンダー・ローズ(エレピ)の音色が心地よく揺れる、究極のメロウ・グルーヴ。ジョー・サンプルやクルセイダーズがお好きな方には、この時期のサウンドが最も響くはずです。

代表曲:「Nem Paletó, Nem Gravata」(1973年)

都会の喧騒を離れたリラックス感を歌った曲。抑制されたリズムと都会的なコード進行が、スティーリー・ダンにも通じるインテリジェンスを感じさせます。

3.1980年代

アメリカのソウル・ミュージック界の重鎮レオン・ウェア(マーヴィン・ゲイの共作者)と意気投合し、LAの洗練されたAORサウンドをブラジルへ持ち帰ります。

代表曲:「Estrelar」(1983年)

当時流行していたエアロビクスをテーマにした、弾けるようなファンク・チューン。現在、世界的な「シティ・ポップ」ブームの中で最も再評価されているダンス・ナンバーです。

代表曲:「Bicicleta」(1984年)

タイトルは「自転車」。爽快なデジタル・サウンドとブラジルの陽気さが融合した、80年代マルコス流のポップスです。

4.1990年代

イギリスのレーベル「Far Out Recordings」と契約し、アシッド・ジャズやハウスの流れの中で、マルコスの「古くて新しい」サウンドが世界中のDJから再評価されました。

代表曲:「Parabéns」(1999年)

アルバム『Nova Bossa Nova』収録。ハウス・ミュージックのビートに自身のボサノヴァ・センスを乗せた、まさに「新しいボサノヴァ」を提示した一曲。

代表曲:「Alma」(2019年)

70代を過ぎてもなお、現役の瑞々しさを保った傑作。近年のライブでも、20代の若者に混じってステップを踏みながら歌う彼の姿は「永遠の青年」そのものです。

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