ジャズにおける循環コード(Chord Changes / Turnaround)は、楽曲の構成や即興演奏の土台となる和声の反復パターンを指します。特にⅡ-Ⅴ-Ⅰ(ツー・ファイブ・ワン)進行を中心にした循環が多用されます。
🔁 循環コードとは?
循環コードとは、特定のコード進行が曲の中で繰り返される構造のことです。
ジャズでは、即興(アドリブ)の基盤となり、覚えるべき基本の「型」として機能します。
🎵 代表的な循環のパターン
■ 1. Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ(ツー・ファイブ・ワン)
最も基本的な進行。キーCの場合:Dm7(Ⅱ) → G7(Ⅴ) → Cmaj7(Ⅰ)
ジャズではこの進行が「文法」として使われます。
スタンダード曲の多くがこれを軸にできています。
■ 2. Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ(アイ・シックス・ツー・ファイブ)
ジャズ・ブルースやバラードにも多い循環進行。キーCでは:Cmaj7(Ⅰ) → Am7(Ⅵ) → Dm7(Ⅱ) → G7(Ⅴ)
永遠に回せる「循環コード」の典型例。
「オータム・リーブス」などでも変形が見られます。
■ 3. ジャズ・ブルースの循環(12小節のブルース進行)
ジャズ風ブルースでは以下のようなコード循環が使われます(12小節)(キーF):| F7 | Bb7 | F7 | F7 |
| Bb7 | Bdim7 | F7 | D7 |
| Gm7 | C7 | F7 | C7 |
トニック(I)、サブドミナント(IV)、ドミナント(V)の3段構えの構造。
後半は Ⅱ-Ⅴ(Gm7-C7)を含んで、再び頭へ戻ります。
なぜ「循環」が重要か?
即興演奏のフレームとして
アドリブは循環コード上で展開されるため、覚えておくことで瞬時にソロが組み立てられます。
スタンダードの分析に便利
多くのジャズスタンダードは循環コードでできています。
→ 例:『All the Things You Are』や『Autumn Leaves』
耳の訓練にも最適
Ⅱ-Ⅴ-Ⅰの音感を身につけると、コード進行が「読める・聴こえる」ようになります。
応用:代理コードやリハモナイズ
ジャズでは、循環コードをそのまま弾くだけでなく、以下のような置き換えが使われます。
トライトーン・サブ(代理Ⅴ7):
G7 → Db7(トライトーン関係)
モーダル・インターチェンジ:
メジャーキーにマイナーのコードを借りる
パッシング・ディミニッシュ:
半音階で滑らかに移動する補助コードを使う
🎼 代表曲での実例
Autumn Leaves:Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ in both minor & major
There Will Never Be Another You:Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ
Blue Bossa:ⅱm7b5 – Ⅴ7b9 – Ⅰm7
🎷 練習のすすめ
🎹 ピアノやギターで
12キーでのⅡ-Ⅴ-Ⅰ循環を弾いてみましょう。
音声でコード感をつかむことがとても重要です。
🎺 管楽器プレイヤーなら
Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのスケールやリック(定番のフレーズ)を12キーで練習。
転調した循環に対応できるようにしましょう。
