蘇州夜曲（Sosyuu Serenade）

「蘇州夜曲（Soshuu Serenade）」は、日本の作曲家・服部良一が作曲し、1940年にリリースされた名曲です。この曲は、日本の音楽史においても非常に重要なスタンダードナンバーとして知られており、戦前から戦後にかけて幅広い人気を博しました。

「蘇州夜曲」は、中国の江蘇省に位置する美しい都市、蘇州を舞台にした恋の物語を描いた曲です。蘇州はその水郷や庭園で有名で、ロマンティックな雰囲気が漂う場所として知られています。当時、蘇州を含む中国の地域は日本の影響下にあり、この曲は戦時中の日本が中国を舞台にした映画「支那の夜」（1940年）の挿入歌として制作されました。作詞を担当した西條八十は、切なくも美しい愛の物語を描いています。蘇州の夜、月明かりのもとで恋人たちが舟を浮かべ、互いの愛を語り合う様子が詩的に表現されています。愛の儚さと美しさが歌詞に込められており、日本人だけでなく多くのリスナーに共感を呼びました。李香蘭（山口淑子）によって初めて歌われました。李香蘭は当時の人気歌手で、中国の文化に親しんだ彼女の歌声は、蘇州の美しさとエキゾチックな雰囲気をより一層引き立てました。

「蘇州夜曲」は、その美しいメロディと詩的な歌詞、エキゾチックなアレンジによって、昭和の日本歌謡のクラシックとして愛され続けています。