Return to Forever

「Return to Forever」は、ジャズ・フュージョンの巨匠、チック・コリア(Chick Corea)が1972年にリリースしたアルバムであり、彼のバンド「Return to Forever」のデビュー作でもあります。このアルバムは、ジャズ・フュージョンとラテン音楽の要素が融合した画期的な作品で、後に続くフュージョンムーブメントに大きな影響を与えました。

アルバムは全4曲で構成されていますが、それぞれが長尺で、複雑な展開と多彩なサウンドを持っています。

Return To Forever:タイトル曲であり、アルバムの幕開けを飾る一曲。軽快なラテンリズムとチック・コリアのエレクトリックピアノが中心となり、フローラ・プリムの柔らかいボーカルが印象的です。

Crystal Silence:ピアノとフルートがメインの美しいバラード。タイトルが示すように、静寂の中に輝くようなサウンドスケープが広がります。この曲は、後にチック・コリアとゲイリー・バートンのデュオアルバム「Crystal Silence」(1973年)でも再演されています。

What Game Shall We Play Today:フローラ・プリムのボーカルが前面に出た楽曲で、ラテンのリズムと明るいメロディが特徴です。アイアート・モレイラのリズミカルなパーカッションも楽曲に独特の雰囲気を加えています。

Sometime Ago/La Fiesta:アルバムのハイライトとも言える大作。前半の「Sometime Ago」は穏やかで夢見心地なサウンドから始まり、後半の「La Fiesta」は活気あるフラメンコ調のリズムに移行します。チック・コリアの情熱的なピアノソロが際立ち、バンド全体のエネルギッシュな演奏が聴きどころです。

ECMレーベルの特徴である透明感のある録音が、このアルバムにも色濃く反映されています。クリアなサウンドが、楽器やボーカルのディテールを際立たせています。それまでのモダンジャズとは異なり、エレクトリック・ピアノを多用し、ラテンやスペイン音楽の要素を取り入れることで、新たな音楽の地平を切り開きました。

「Return to Forever」は、ジャズ・フュージョンの歴史において欠かせない作品であり、今でも多くのジャズファンに愛されています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次